【Appデベロッパー様必見】Voodooに聞く成長戦略 ~KPから成功事例・失敗事例まで大公開!~

目次

イベントサマリ

2024年11月28日に、アイモバイルの「GCPPアプリ スペシャリスト」を記念し、Googleオフィスにてアイモバイル主催のリアルイベントを開催しました。

イベント全体のレポートは1つ前の記事でご紹介しています!

本記事ではイベントテーマの1つである「Voodooに聞く成長戦略」について、詳しくご紹介します。
ハイパーカジュアル領域で世界をリードするVoodoo様の歴史から設計しているKPIや成功事例・失敗事例などここだけしか聞けない話を大ボリュームでお届けします!

またパブリッシャー様からご要望が多かったイベント当日資料、イベントでは話しきれなかった内容をまとめた資料を公開しています!ぜひダウンロードしてご覧ください!




    Voodooの紹介

    今回Voodoo × i-mobile × Sensor Towerの3社で「Voodooに聞く成長戦略」をテーマにパネルディスカッションを行いました。
    改めてVoodoo社とご登壇いただいたBaptiste様についてご紹介します。

    ■Voodooについて
    2013年にAlexandre Yazdi氏とLaurent Ritter氏によって設立された、パリに拠点を置くフランスのモバイルアプリとゲームの開発・配信を行う会社。
    当初は無料の「ハイパーカジュアルゲーム」に特化し、その普及に大きく貢献することで、ゲーム業界に新しい分野を築きました。その後、カジュアルゲームやアプリの開発・配信にも事業を拡大し、2024年6月には非ゲーム分野を強化するためSNSアプリのBeRealを買収しています。
    「Entertain the World(世界を楽しませる)」をモットーに、数々のヒット作を生み出し、現在では250以上のゲームとアプリをリリース、累計70億ダウンロードを達成しています。

    Head of Monetization
    Baptiste Durif 様

    Roland BergerとBoston Consulting Groupでコンサルタントとしてキャリアを
    スタートしたのち、2年前にVoodooに入社。6月に行ったBeRealの買収やそれに伴う統合など、この2年間は事業戦略に注力し、現在はVoodooのマネタイズ全般を監督。

    ■Voodoo History

    ● 2016年~「立ち上げ」
    Voodooは設立当初から、世界中の何百万人もの人々にインスピレーションを与えるモバイル製品を作ることをミッションとしていましたが、2016年頃に「成功するアイデア」の予測が苦手なことに気づきました。

    そこで立ち上げ初期には「各チームに毎週1つのゲームを作成してアプリストアでリリースする」という大胆な実験を実施。少額のマーケティング予算を使ってユーザーを集め、生データでゲームのクオリティをテストし続けることでわずか数週間で最初のヒット作「paper.io」をローンチできました。多くの国のアプリストアで1位を獲得し、初年度に3500万以上のダウンロード数を記録。実験では毎週約60アプリをリリースし、テストしていました。

    ● 2017年~「市場の成長」
    「paper.io」の成功を皮切りに2017〜2018年にかけて提携スタジオ数を大幅に増やし、収益を400倍に増やすことに成功しました。しかし2019年〜2020年にかけて、Voodooの爆発的な成長と成功によって競合他社が参入し、多数のハイパーカジュアルゲームスタジオが現れるようになりました。その影響で市場シェアが減少し、成長は鈍化したものの、収益性は依然として高いままでした。

    ● 2020年~「規制と新たなスタート」
    アプリ内での広告やトラッキング周辺の規制が強化され、特に2021年のiOS14.5のリリースに伴い、IDFAが取得できなくなくなると、ハイパーカジュアル事業社の衰退が目立ち始めました。Voodooもユーザー獲得コストが急騰し、収益はわずか1年で半減しました。
    そのため、少数精鋭スタイルでプロジェクトを厳選し、最終的にはのちにVoodooの未来を形作ることになったカジュアル/ミッドコアのゲームとアプリに専念しました。そうしてリリースされたのが「Mob Control」「 Collect Em All」「Jam」「Wizz」「 Blitz」「 WeMoms」 等のタイトルです。

    ● 現在
    Voodooは多様なゲーム、アプリ、ビジネスモデル、顧客層を持ち、非常に回復力の高い収益構造を実現することで、より強力な企業に成長。数年前には収益の100%を占めていたハイパーカジュアルは、現在ではその20%を占めるに過ぎず、残りはカジュアル/ハイブリッドが現在の収益占有率上位です。

    また、BeRealの買収についてですが、Voodooの企業理念は世界を楽しませることであり、ゲームアプリに限らずモバイル業界全体のプレイヤーであるという認識のもと、SNSを含めたモバイルアプリの可能性を広げていきたいという考えで進めました。

    ハイパーカジュアルゲームとミッドコアゲームの補足
    ■ハイパーカジュアル
    直感的に理解できるようなシンプルなルールや操作性が特徴で、誰もが空いた時間で手軽にプレイすることができるゲーム。殆どのゲームは基本プレイが無料で遊べる。アプリ内広告でマネタイズしているケースが多い。

    ■ミッドコアゲーム
    カジュアルゲームとハードコアゲームの中間に位置するゲーム。
    カジュアルゲームほど単純ではなく、ハードコアゲームほど複雑ではない、適度なやりごたえのあるゲーム性が特徴。カジュアルゲームのライトユーザーから、ハードコアゲームのヘビーユーザーまで、幅広い層に支持されやすい。基本プレイが無料のゲームが多いが、課金要素もあるため、アプリ内広告だけでなく課金で収益を得ることもできる。

    KPI設計

    これほどの成功を収め続けているVoodoo様が、どのようなKPI設計をしているのかもお伺いしました。
    多数あるKPIの内、3つをご紹介します。

    Voodooでは、自分たちの直感に頼らず、全ての主要なビジネス決定にKPIを活用しています。
    KPIを活用する主要な方法の1つは、A/Bテストの実施です。
    毎週、ゲームポートフォリオ全体で500以上のA/Bテストを実施しています。このテストにより、業界でも類を見ない規模で異なる機能、デザイン、ユーザー体験を実現することができます。

    ■KPI例

    ①Buyback time(買戻し期間)
    ユーザー獲得コストを生成された収益で回収するまでの平均時間。
    バイバックタイムを理解することは、キャッシュフロー管理とマーケティング戦略の持続可能性を評価するのに不可欠です。

    ②LTB120 / eCPI
    120日間のライフタイムバリュー(LTV)とeCPIの比率。
    ハイパーカジュアルをメインに扱うパブリッシャーはD90を使用するかもしれませんが、Voodooの焦点はミッドコアゲームにあるため、D120を使用しています。
    これは収益配分と意思決定のスピードとのバランスに基づいています。

    ③Ad frequency(広告頻度
    特定の時間枠内でユーザーに表示される広告の数。
    広告頻度のバランスは重要です。広告が多すぎるとユーザーの不満や離脱の上昇につながり、少なすぎると収益機会の損失につながります。

    成功事例

    当日のイベントでは、アプリマネタイズの6つの成功事例について紹介していただきました。
    本記事では①と⑥をご紹介します。

    ①ユーザーセグメンテーション
    ユーザーセグメンテーションにより、ユーザーの特性や行動に基づいて特定のグループに合わせた収益化の取り組みが可能になります。
    例えば共通の特性を持つ異なるグループに分類することで、個別化されたオファーを提供し、収益化の可能性に基づいてゲーム内体験をカスタマイズすることができます。
    ユーザー群を分ける際にまず推奨するのは課金/非課金ユーザーの区別です。例えば非課金ユーザーに対して広告を増やす等。また、長期的なユーザーに関しては課金/非課金問わず、広告を出しても離脱する可能性が低いです。

    ⑥ミッドコアとハイパーカジュアルの融合
    今行ってるアプローチの1つは、ハイパーカジュアルのシンプルさと手軽さを、ミッドコアゲームの深さと進行型方式と融合させることです。
    このハイブリッドカジュアルモデルにより、簡単に始められるがついつい長く遊んでしまうようなゲームを作ることができ、カジュアルプレイヤーをより豊かで魅力的な体験へと導きながら、新しい収益化の道を開くことができます。

    Ball Blastの事例
    Ball Blastは、単純なハイパーカジュアルゲームとして始まりました。プレイヤーは画面下部の大砲を操作し跳ねるボールを撃って破壊するゲームでした。ゲームが成熟するにつれて、初期のゲームプレイを崩すことなくミッドコアメカニクスを導入することで、深みとエンゲージメントを加える機会を見出しました。

    2023年にはプレイヤーが戦略を立て、ゲームプレイの進行に課金できる要素を強化。
    単調な繰り返しではなくプレイヤーが能力や武器を習得できるようなゲームへと進化しました。これにより進行感と所有感が生まれ、アクティブユーザーの増加に繋がりました。
    これらの変更を加えて以降、特にプレイヤーの収益化において顕著な結果が見られました。以前は総収益の7%に過ぎなかったアプリ内課金が、数ヶ月以内に39%まで急増しました。
    さらに、広告再生によるライフ復活に加え、追加復活の購入オプションを追加。また、複数の武器や必殺技を導入し、ユーザーが自由に組み合わせを選べるカスタマイズ要素を加えました。

    ハイカジの手軽さとミッドコアの深さを融合することで、より満足度の高いプレイヤー体験とより成功したゲームにつながることを証明しました。


    ②~④の成功事例については資料にまとめているので、以下よりダウンロードをお願いします。




      失敗事例

      また最近経験した5つの失敗事例についてもご紹介します。
      本記事では①と②をご紹介します。

      ①Biddingへの切替え
      Bididngに切り替えることで、全ネットワークが同時に入札できるリアルタイムのシステムを導入することができましたが、eCPMへの影響はあまり良いものではありませんでした。
      ウォーターフォールだとパフォーマンスによって優先的にネットワークを配置することも可能でしたが、ビディングへの切替えでコントロールができなくなり、単発的に高いeCPMを出してたネットワークがより広いオークションで入札することにより低価格のネットワークに負けてしまうケースも散見されました。そのためヘビーユーザーなどの主要セグメントのARPUが低下しました。
      必ずしもBididngだけで運用するのではなく、収益性を確認しながらウォーターフォールを併用することも必要だと思います。

      ②過剰なペイウォール
      インストール直後に主要な機能やコンテンツを有料化してしまうと、新規ユーザーは課金を急かされているように感じ、ゲームを楽しむ前に離脱してしまうことが分かりました。そのため、当初よりも多くの無料コンテンツを提供し、ユーザーにアプリの価値を理解してもらうことで、継続率は大幅に向上し、全体的に好意的な反応が多く見られるようになりました。

      ③~⑤の失敗事例ついては、資料にまとめているので、以下よりダウンロードをお願いします。




        まとめ

        Voodoo様がどのようにして急成長し、成功を収めてきたか、また世界トップレベルDL数を誇るハイパーカジュアルアプリをリリースし続けるにあたり、どのようなKPI設定をしているのか、そして成功や失敗があったのかなど多くの貴重な事例をお話していただきました。
        イベント当日の投影資料とイベントでは触れることができなかった項目については全て資料にまとめていますのでぜひダウンロードしてご覧ください。

        次回はパブリッシャー様からVoodoo様への質問に対する回答をまとめた記事のリリースを予定しています!お楽しみに!

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