韓国最大のゲームショー「G-STAR 2023」が先月11月16日~19日の4日間をかけて釜山で開催されました!2023年は7月末に中国で「China Joy」、9月末には日本で「東京ゲームショウ」が開催され、アイモバイルではいずれのイベントも参加しましたのでそれぞれのイベントに参加して感じたこと、気付いた点を記事にまとめました。参加されていない方や参加したけど改めて振り返りたい方はぜひご覧ください!
China Joyとは?
改めてChina Joyとは中国で開催されるゲームやデジタルエンターテインメントのイベントで今年で20回目の開催となります。中国で開催されることから東京ゲームショウ(以降TGS)より馴染みが少ないかもしれませんが、実際に行ってみると中国の会社だけではなく、日本や米国などの有名企業も出展しており、22か国・地域から500社近くが参加され、約40%程度は海外企業の出展と言われています。
また、会場を歩いているとNARUTOやガンダム、ドラゴンボールなど、日本の有名なアニメキャラクターも多く見かけ、日本のアニメ人気を感じることもできます。
中国大手のゲーム会社ではTencent、NetEase、ShengQu、4399などが出展しており、ゲーム以外にもマッチング系、EC、スーパー、フードデリバリー、フィギュア、車などゲームに限らず幅広いジャンルの企業が出展していました。会場も大きく東京ドーム約3個分の約12万平方メートルもあるので、歩いていると結構疲れます。
東京ゲームショウとは?
一方日本で開催されたTGSは、China Joyよりも歴史は古く1996年から開催されており、今年2023年で33回目を迎えた日本最大のゲームやコンピューターエンターテインメントのイベントです。
現在は年に1回の開催ですが、過去には年に2回開催されていたこともあるようです。幕張メッセで開催され、2023年の4日間のリアル会場への総来場者数は 24万3238人でテレビ、Webの各ニュースメディアでも開催を報じる程日本でも注目されたゲームイベントです。
TGSもChina Joy同様に国内企業に限らず、2023年は44カ国・地域から787の企業・団体が出展しました。
日本の大手ゲーム会社がブースを大きく構え目立つ一方、海外の人気スマホアプリのブースや海外大手ゲーミングPCメーカーなどのブースも大きかったです。今年は家具のニトリも出展しており、これまでとは少し違った企業の出展も印象的でした。ちなみに現在ニトリではゲーミング家具を取り扱っています!
G-STARとは?
そして先月開催されたG-STARはChina JoyやTGSのような韓国で開催される韓国最大のゲームショウです。釜山のBEXCOで行われ、2023年で6回目の開催です。今年は1,037社、42カ国から多くの方が参加し、世界的に注目されているゲームイベントです。
日本からはバンダイナムコエンターテインメントや集英社ゲームズなどが出展していました。米国からはChina Joy、TGSにもブースがあったGoogleやフォーナイトを手掛けるEpic Games、CPU大手のintelやAMDなどのブースがありました。
現地韓国のゲーム会社からはNCSOFT、Netmarble、Wemade、KRAFTON, Smilegate、 Kakao Games、Pearl Abyss、GRAVITY、 Nettention、NHNあたりが出展していました。
中国市場と日本の比較
■サービスの規制
まず一番の違いは中国当局の「規制」があることです。ご存知の方もいると思いますが、中国国内では利用できるアプリ、サービスには制限がかかっており、もちろんゲームもその規制の対象です。
例えば日本では海外企業が展開するYouTube、X(旧Twitter)、Netflix等のサービスが普通に使えるため、あまりイメージがつかないかと思いますが、中国ではYouTubeを展開するGoogleがそもそも使えなかったり、X(旧Twitter)、Netflixも使えません。
その為、China Joyの出展企業は中国国内を対象としたビジネスもありますが、中国から海外展開を考える企業向けのサービス紹介が多かったのも印象的でした。中国国内の展開は規制があるので、中国から海外向けにサービスを展開しようということですね。
■「版号」取得の壁
海外サービスの規制はリリースできるゲームタイトルの数にも影響してきます。中国ではゲームをリリースする際に「版号」と呼ばれる許可を中国政府から取得しなければいけません。
この記事では細かい説明は割愛しますが、この「版号」取得は審査もあり、外資系企業が取得する際は2年もかかるといった話もあるようです。なのでヒットするまで新しいゲームをリリースしようということが気軽にできないのも日本との大きな違いかもしれません。
■広告
イベントで話を聞いてる限りですが、中国企業による広告出稿は少し控えているといった印象です。少し前には中国の不動産市況の低迷や大手不動産企業の経営危機などのニュースも日本で大きく報道され、あまり景気が良いと呼べるような状況ではないのかもしれません。
広告マネタイズに関しては中国国内向け、海外向けで運用を分けているといった話が多く、先ほどお伝えした規制からメディエーションや使う広告ネットワークに関しても中国国内と海外向けは違うようです。
中国国内向けのメディエーションではTop on、配信する広告ネットワークでは MintegralやPangleなどの中国企業の利用が多いと聞きました。
韓国市場と日本の比較
■日本と似ている?
一方韓国と日本で比較すると、中国ほど違いを感じることはあまりなく、全体的に日本と似ている印象です。ただ、韓国企業のシェアや浸透みたいなところは感じることができ、有名なところですとサムスンのスマホやNaverの検索エンジン、カカオの利用などが挙げられます。
検索エンジンに関してはGoogleがシェアを伸ばしているようですが、NAVERの人気は根強いです。ちなみにGoogleマップはほとんど使えず、韓国ではカカオマップの利用が一般的なようでした!
■会場に設置されているPCの多さ
逆に違いを感じたのは会場に設置されているPCの多さです。TGSに参加された方はイメージしやすいかもしれませんが、このようなイベントでは会場に新作ゲームを体験できるゲーム端末やPCが設置されていることがよくあります。G-STARでは設置されているPCの台数の多さが印象的でした。
これは前からある韓国のネットカフェ文化が影響しているのかもと現地の人に伺いました。日本でネットカフェというとPCもありますが、どちらかというとマンガや雑誌などをイメージすることが多いのではないでしょうか。韓国では以前からネットカフェにゲームができるPCが設置されており、高額なゲーミングPCを購入せずともネットカフェに行ってPCゲームをするということが割りと日常的に行われているようです。その為か日本よりもPCゲームが受け入れられているのではないかとのことでした!
■広告
広告に関してもこれといった大きな違いを感じることはあまりなかったです。使われているメディエーションや広告ネットワークなどもあまり日本と変わらない感じでした。Webの広告も含めてですが、地元の広告ネットワークだとKakao、Naver、Dable、Moloco,、Cauly、TNK FACTORYなど利用されるとのことでした。韓国進出をお考えのパブリッシャー様は少しご参考にしてみてはいかがでしょうか。
検索広告に関しては先ほどお伝えした検索エンジンのシェアからNAVERが圧倒的なリーダーのようです。また、Webよりの話かもしれませんが、あまりHeader Biddingは聞かず、日本程Header Biddingは普及していないのかもしれません。
中国、日本、韓国で感じた共通点
それぞれのゲームイベントに参加してみて感じたことはどの国も似ている点が多い中でもその国独自の分化や市場がしっかりあるんだなと改めて感じました。
特に感じた共通点はマルチプラットフォーム対応です。iOS、AndroidのスマホゲームをPCやテレビゲームに対応させたり、逆にPCやテレビゲームで流行ったものをスマホ版で作成したりと一つのタイトルを様々なデバイスで展開する動きが各社ありそうです。スマホのスペックが年々高くなっており、これまで以上にマルチプラットフォームの展開もしやすくなっているみたいです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?本記事を通して少しでも会場の雰囲気やそれぞれの市場感など、なんとなくでも良いので伝わっていただければ幸いです。
尚、今回ご紹介した内容はアイモバイル社員が参加し、見て聞いた情報を元に作成しています。参加企業の担当ベースによる話も含まれるため、実態とは少し違った話も含まれている可能性があります。そのため、エビデンスに基づく確かな情報収集というより、現地の状況や現場の温度感を確認する程度で読んでいただけたら幸いです。
より詳細に話を聞きたい方や広告の戦略について相談したい方は下記よりお気軽にお問い合わせください!またこのようなイベントに参加した際は、皆さまにも共有できればと思います!